介護の日記を書いている人は、何故こうも心の広い人が多いのだろう。

優しい人が多いのだろう。

 

介護している人の事を「かわいい」だとか「○○ちゃん」と言っていて

よっぽどのことがない限り、愚痴を書かない。

うちの祖父の状態が、普通に比べてひどいのだろうか?

 

いや、そんなことはないと思うのだけれど。

私はそんな優しく接する気持ちになれないのだ。

またか、と思わされる恐怖

今日も夜中の1時から半身浴。

やれやれ、また遅くなってしまったぜ。

 

パジャマを片手にパンツ1枚でリビングに向かってみると、消したはずの部屋に明かりが。

ドアを開けると案の定、祖父が椅子に座っていました。

 

 

(あ~、やっぱり起きている。しかも何か食べているから止めなきゃなぁ)

 

 

分かってやっているのか、最近は人がいない時にリビングへ忍び込み食べられそうなものを漁る祖父。

うちの家族は、祖父の間食を阻害する人しかいません。

糖尿病、高脂血症のため食事制限をされているため、見つけたらすぐに止めなければならない。

 

 

既に机の上にはお皿があり、納豆に大量のからしを絡めて何やら麺と一緒に食している。

もう味覚なんてものはないんだろうな。

袋詰めのうどんを生のまま齧るぐらいですから。

 

後日談、入っていた麺は焼きそばの麺だったらしい。

 

(すげーめんどくせぇなぁ。今から寝る所なのに)

 

止めたところでそう簡単に食べるのは辞めない。

運が悪いと、ものすごく機嫌が悪くなる。

 

「お前はそういうけど、俺はなぁ!」

 

と、声を荒げてこちらの言葉を何も聞かない。

 

 

とは言っても自分は早く寝てしまいたいので、早く引き上げたいところ。

 

 

祖父に聞こえるように大声で話しかけましょう。

まずは食べるのを辞めさせる。

 

 

「おじいちゃん!もう夜中の2時ですよ!寝る時間!俺はお風呂に入ってきてもう寝ますよ!」

 

 

「おらぁー…ぜんぜん…べとらんからぁ」

 

 

「おじいちゃん、いつもたくさん食べてますよ!」

 

 

何やら、口調ががおかしい。

最近ちょっと「無性に出かけたがる」という話を聞いていたが、それ以上に様子がおかしい。

こんなに呂律が回らなかったっけ?

 

 

いきなり皿を取り上げるのも何なので、からしが多くてお腹が壊すから!ということにしておくか。

 

が…皿を持ち上げてみると、ちょっと様子がおかしい。

麺と納豆にからしをかけているのは見てわかるが、なんでちょっと白いのだろう。

 

 

足元に落ちているものを見て、一気に眠気が吹き飛ぶ。

ちょっと白っぽい…透明のもの?

蓋付近が明らかに汚れているじゃないか。

明らかに納豆へ注入された形跡が。

 

 

「おじいちゃん!こんなもの食べたらお腹壊しますよ!」

 

 

「ほうだぁ…納豆だが…」

 

 

「おじいちゃん!これ!洗顔料!顔を洗うやつです!」

 

 

洗顔料ではないけれど、そんなことを言って通じるわけがない。

 

 

「お腹壊しますからこれ捨てますよ!」

 

 

「帰ったのか?」

 

 

「ん?」

 

 

「お前帰ったんか?」

 

 

座ったままぽけーッとした顔で喋り続けている。

もはや何のことを言っているかわからない。

 

 

「石をね…のら石をできるかとね…思ったがね」

 

 

「庭石をやったりな…それから…ん~俺もアレだと思ったんだがね」

 

 

…ヤベェ。

 

 

「アメリカ需要がね…日本のね…そこに6件建てたんだ」

 

 

「中でも…程度のいい方に…しなあかん。今なぁ…一番いいのがな…しなあかん。一番向こうの…はし」

 

 

「向こうがな…その…あのが…前の…電気点くようになっているがな」

 

 

「…俺が作ったんだ」

 

 

もうね、日本語になっていない。

 

そして恐ろしい。

何を考えているのかわからない人の相手をすることが。

恐怖感というか…自分の本能が「ムリ」と発しているのがわかる。

 

 

ブログに書き起こしたから単語はわかりますけど…

実際に聞いた時は声が震えているし言葉が出ていないしで何の言葉を発しているか分からない状態。

 

母はこの言葉を何度も何度も聞いていて

 

 

「おじいちゃん、とても優しいのよ。トランプ大統領が就任してから日本が危ないから、田舎に建てた6軒の家があるからそこに住めって言うの」

 

 

なんて言っていたが、私は寒気しか感じられない。

 

何故だろう。

 

小さい頃祖母がボケていた時は「あ~、はいはいそうだね」と流せていたのに

今の祖父に対しては恐怖感しかない。

 

すぐ怒り出すから?

窓ガラスを全部割ってしまうように、なだめていないと暴れ出す可能性があるから?

 

 

喋り続けていたら、何とか文章になってきたようで

 

 

「アメリカで爆撃があって…海軍の奴で、ssssそれを…俺が…兵隊から帰ったら…それを最後に…」

 

 

やはり恐怖。

嫌とか面倒くさいとかじゃなくて、この状態に対する恐怖。

 

なまじ昔の祖父を知っているだけ、今の状態の祖父が恐ろしく怖い

 

 

最近の祖父の状況は母親から聞いていたため、ここまでの状態だとは思っていませんでした。

おそらく、もう少し前からこの状態だったのだと思う。

 

 

うちの母親は祖父の話を全部しっかりと聞いているので、最終的に話をまとめることができますが

私が聞く限り、このバラバラのパーツを組み合わせて祖父の意図を知ることは不可能です。

 

身内がこうなっていくのを見ていると、気が沈む。

 

何よりも恐ろしかったのが

 

「ドライヤーで髪を乾かしに後ろへ回ったのに、椅子に座ったまま明後日の方向を向いてしゃべり続けている」

 

もう私が話を全く聞かなくても一生しゃべり続けている。

 

ドライヤーを閉まって、お皿を片付けてから祖父を誘導する私。

 

「おじいちゃん、僕はもう寝るから電気を消しますよ。さ、部屋に戻りましょうね」

 

いつもなら祖父は何かここで喋り出してしまうが、今回は出口付近にいたので

電気を消したらすんなり部屋に帰ってくれました。

 

 

ふう、思ったより簡単に帰ってくれたな。

さあ、寝るか。

寝ても安心できない恐怖

しかし

 

 

これで終わりかと思いきや

 

 

「ドンッ!」

 

 

布団に入って30分後ぐらい、静かな所に1つの音が聞こえた。

恐らく聞き間違いではあるまい。

この音に気付いたのは、まだ眠れていなかった自分だけ。

 

間違いなくドアが開いた音。

 

うちには階段に対して通路とリビング側にドアがあり

寝室に近い通路側のドアから祖父はいつも出ていきます。

 

このドア、古くてなかなか硬いから閉まる時に大きな音がする。

 

ドアの前に新聞紙を詰めた袋を置いて、空きづらいようにしてありましたが

それぐらいの事、全く問題ないらしい。

 

 

すぐさまドアを開けて追いかけようとすると、こちらの方へ上ってくるのが見える。

階段の電気が1つも付いていない。

非常に危ない。

 

 

「おじいちゃん!もう真夜中ですよ!しかもその恰好じゃ寒いです!凍えてしまいます!」

 

 

 

「でもなぁ、俺はどうしても行かなきゃならんことが…」

 

 

とても話を聞いてもらえるようには思えない。

どうすりゃいいんだよ…。

 

 

 

 

「悪いな…、ありがとう。」

 

 

私の声で目が覚めたのか、父親が現れて私とチェンジ。

今回ばかりは本当に有難い。

 

 

よく普通に起きて対応できるよ。

自分は、寝ているところを起こされたら相当不機嫌になるから。

 

普段、自分が悪くとも絶対に謝らない父親に何故か謝られている。

それはそれで悲しくなってくる。

 

結局、寝かしつけるのに1時間近くかかったそうです。

これが毎日になったら恐怖でしかない。

朝目が覚めても恐怖

朝方、多分6時か7時ぐらいだと思う。

母親がまだ寝ていたから。

 

 

「ママ、ママ?」

 

 

珍しい声で目が覚めた。

叔母だ。

こっちのフロアに来るのは珍しい。

 

 

「おじいちゃんが今から出かけるって、大変なの」

 

 

いや…、娘ならさ

義理の娘に助けを求めないで自分でなんとかしようと思わないのかな。

 

 

母親が起き上がってドタドタしている音が聞こえた。

自分は全然寝たりないので、そのまま頑張って寝ようとする。

休みの日はめい一杯寝ていたい。

 

何だかんだでグッスリ寝れたようで、11時頃に起床。

というか、母親が上がってきて起こされる。

 

 

「おじいちゃん、さっき一人で出ていっちゃったみたいで、アルソックで調べてもらったら交番にいたみたい」

 

 

ハーン?

私が寝ている間にそんなことが?

 

一人で出ていったものの、お金を持っていなかったから交番へ借りに行ったらしい。

アルソックに電話したら、GPSで交番にいるのが分かったから連れ帰ってきたそうだ。

便利な世の中になったものだ。

祖母が夜中徘徊してしまった時は、家族総出(子供以外)で探しに行ったものでした。

 

日曜日だし、誰かしらリビングにいるから気づきそうなものでしたが

杖を使わないで出ていってしまったそうです。

まさか、普通に歩いていくとは。

 

普段歩くときは杖を突いて歩くから、ドタドタと音がして一発でわかる。

廊下を歩くときにドタドタいうから、一発でわかる。

しかし、杖を使わなかった場合は、ゆっくり歩いて音が小さいから余計に気づけない。

 

今回は朝方に交番へ行ってくれたおかげですぐに見つかったものの

夜中に出歩かれたらたまったものではないよ。

 

祖父は外に出る時に必ず持つ紙袋にGPSが入っていましたけれども

もし持ち歩かなくなってしまったら補足するのも難しくなってしまう。

 

 

一人で徘徊していそうな老人は見たことがないのですが、絶対数的には少ない?

それとも私が単に気づいていないだけ??

ちょっとしたことであっても、非常に疲れた出来事でした。

 

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