「認知症の進行具合はまばらである」という言葉は有名ですが

認知症の症状もかなりブレがあります。

 

前回の記事から祖父の介護が大変かと思われていたかもしれません。

認知症の進行によって、どれだけ性格が変わってしまうのか

あれはちょっと特殊な状態。

案外、落ち着いている時の祖父は静かなものなのです。

 

祖父の認知症も8月末あたりまではかなり落ち着いていたのですが

徐々に症状が悪化してしまいました。

またもやテレビの情報と自分の想像をごっちゃにして、妄想が激しくなってしまったのです。

妄想を信じ出すと誰の話も聞かなくなってしまう

「もう誰も入れるなよ」

 

スカスカになった部屋で声を荒げる祖父。

リビングの横で何か騒がしいと思いきや、どうやらまた祖父の妄想が始まってしまったようです。

 

この妄想、本人が「そうか、勘違いか」とわかってくれる時は大丈夫。

「いいや、さっきここに人がいたんだ」と、こちらの話を一切聞かなくなってしまうと危険な状態。

「なだめる」以外の方法がなくなってしまいます。

 

どうやら今回は「ロシア人が自分の持ち物を勝手に持って行ってしまった」と思ったそうです。

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昔よく「ロシ公が俺達の財産を勝手に持って行ってしまった」と、戦時中の話を何度も聞かされていて

多分その記憶と混合してしまったのでしょう。

特に近頃は台風がヒドイとニュースでやっていたので

「嵐に駆けつけて持っていかれた」

と言っている状況。

我々がいくら説明しても、全く自分の意見を曲げません。

 

特に今回「いつもと違う」と感じたのは

 

「さっき勝手に家に来た奴がいて、俺は叱ってやった」

 

という言葉。

「ってやった」

という表現自体、既におかしいのでかなり錯乱しているのだと思います。

外に出てしまわないように、部屋に戻ってもらうのも一苦労。

 

当然ですが、祖父の部屋の物はロシア人が持って行ったわけではありません。

うちの従妹に任せて全部処分してもらったのです。

 

以前、祖父は骨董品が好きで集めていた…という話もしましたが、実は骨董品以外にも色々なものを集めていました。

骨董品を相続する場合の夢と現実と理想

古いウイスキーや私が知らないようなお酒とか

お酒好きだったらこっそり飲んでしまうようなものがあったかもしれません。

私が幼稚園の時から見た覚えがあるので、最低でも25年物?

お酒は古いほどいいのかよく知りませんが。

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骨董品以外にも首相からもらったサイン本だとか価値のあるものが沢山あったそうです。

 

まあ、この部屋の物品を処分するのにもひと騒動あったわけですが。

 

少し前に祖父が「自分で古書を売ってくる」と騒いでいたことがありまして…

当然ながら祖父だけを向かわせるわけにはいきません。

というか、本棚数個分の本をどうやって持っていけばいいのかと。

 

「古書を売るなら神保町じゃないですか?」

 

「いいや、そこじゃない。」

 

「それなら群馬?(たしか古書市場があるって話を聞いたことがあるし)」

 

「そこじゃない。東京のとこだ。あぁ…行けばわかる。この前いっただろう」

 

 

結構前からヨボヨボ歩き、誰か付き添いがいないと外など出られません。

両親に聞いてみたところ連れて行った覚えはない、というので

当然私は「絶対にその場所はないな」と思います。

 

「じいちゃん、でも量が沢山あるし、この暑い中持っていくのは大変だよ?」

 

「でも早く処分しなければならん」

 

「○ちゃん(従妹)にお願いしたら?リサイクルショップで色々古いものを売っていたし」

 

「あんなゴミとは違うんだよ。あいつらにこれの価値はわからん。」

 

「大丈夫だって。昔昭和の漫画を販売していたし。」

 

といったやり取りがありましたが、その時は納得してもらえませんでした(ー_ー)

これも最終的に母親が説得して、従妹に本やら全て持って行ってもらったそうです。

今では「従妹に処分してもらった」事を完全に忘れてしまっているから大変です。

 

「おじいちゃん、○○君達がいる時に、おじいちゃんも立ち会いましたよ。持ってっていいと言ったものだけを持っていきましたからね」

 

「あいつら、勝手に持って行ってしまう。絶対に(家に)入れるなよ」

 

「おじいちゃん、誰も来ていないよ」

 

叔母の説得ではどうにもなりません。

どんな時でも祖父をなだめられるのがうちの母親だけ。

これで母の話も聞かなくなってしまったら、どうしようもなくなってしまう。

認知症の介護は人格を見られていると思うべし

実際に母の対応が認知症に対して理想的な行動をしていることもありますが

祖父を説得できるのは母が「信頼されている」部分が大きいです。

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それも今の対応で信頼されているわけではありません。

昔からの言動を見てきて信頼されているのです。

 

祖父は、母親の付き添い以外で外には出たがりません。

 

「リョウとは行きたくないんだよ。色々口出してくる」

 

言っている内容は同じなんですけどね。信用がない。

私も同様、母と同じ対応を出来たところで祖父が素直に話を聞くとは思えませんでした。

 

認知症になってしまって急に対応を変えたところでもはや手遅れ

昔の記憶を参照にするため、いくら最新で優しく対応をしたところで覚えていないことがほとんどです。

 

皮肉な話ですね。

一番苦労を掛けられた人が信用されるおかげで、更に苦労を強いられるというのは。

 

母は父方の家に嫁入りをしてから、ひどく気を使わせられてきました。

従妹もよく顔を出したので、食事の準備は軽く10人越え。洗濯も同様。掃除は家が広い。

私が小さい頃は、叔父が沢山顔を出していたので、その対応もありました。

 

一般の主婦が言う「家事が大変」という言葉とは比べ物にならないと思います。

毎日の来客、10人を超える家事の量、祖母の介護…

更に3人兄弟で幼稚園の送り迎えまであったら、休む時間など皆無。

朝も早起きしてお弁当作り。

流石のガンジーも助走をつけて殴るレベル。

 

しかも家での居心地も悪いときた。

祖父は社会的ポストが高く、自分の言い分をすべて通そうとする。父はそれを見て育つ。

祖母は良家育ちで基本的にわがまま。

プラス子供が3人でよく問題を起こす(怪我が多くてすみません)

この状態で、更にへりくだって対応をしていました。

 

正直な話、当時から今を振り返ってみて「そこまで気を使わなくてもよくない?」と思っていましたが

「おじいちゃんもお父さんもとてもプライドが高いから…」などと、気を使わざるを得ないのだとか。

ちなみに私、自己中で言い訳ばかりの父親が世界で二番目に嫌いです。

 

その何十年という苦行を積み重ねてきた結果、忍耐力も相当なものであるし

周りに対しての信頼もかなりのものです。

 

ちなみに叔母だと祖父にはこんな対応ですけどね。

 

祖父「お前ら人を子供みたいに扱うが、俺はまだちゃんと動けるんだよ」

 

祖母「ハハハハ!俺は大丈夫ってあんた…、バス停に行くだけでもフラフラじゃないの。」

 

その後、祖父が怒り出したのは言うまでもない。

まあ、祖母が悪いというか田舎の人ってこんな感じなんですよ。

石川県出身のうちの叔父とかみんなこんな感じ。

 

本心はともかく、声がデカいし人をバカにする言葉が非常に多いです。

 

当然のことながら、祖父は叔母Aも叔母Bの話も一切聞かずに言い合いをするだけ。

家族の話ほど聞かないもの。

 

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